飯田市時又の天竜川で16日、故人をしのんで灯籠を浮かべる「時又の灯ろう流し」が開かれた。川面にだいだい色の約400基の灯籠が流れると、赤や青といった鮮やかな花火約2千発が打ち上がり、岸辺で見ていた人たちから大きな歓声が起きた。
飯田市千代の鈴木春夫さん(72)と妻の昌子さん(70)は花火の番付表を照らし合わせながら見物。春夫さんは「年々友人の中にも亡くなる人が出てきている」としんみりと話した。
灯ろう流しに先立ち地元の竜丘地域自治会は、天竜川の時又港―龍江舟渡間でかつて運航されていた「渡し舟」を約120年ぶりに復活させた。天竜川で川下り事業を営む天竜舟下りの杉本忠社長(59)と天龍ライン遊舟の半崎信弘社長(53)が船頭を務め、乗船した15人が約10分間、緩やかな川の流れに揺られた。
乗船した竜丘地域自治会長の熊谷和美さん(69)は「水面から眺める景色は普段と違っていて、渡し舟を今後運航すれば、大きな観光資源になると感じた」と話した。