岡谷市立岡谷美術考古館は、同市長地柴宮の現代アート作家、根岸芳郎さん(65)の画業をたどる特別企画展を開いている。武蔵野美大時代の作品から故郷で仕上げた近作まで計34点を紹介。黒を基調とした作品から現在の鮮やかなグラデーションの表現までの変化を伝えている。
根岸さんは、美大時代に米国の芸術に関心を持ち、1970年代に6年間、米国に留学。綿製のキャンバスに、はけを使ってアクリル絵の具で描く技法を生み出した。作品名には、描き始めた年月日を冠している。近作の「16―7―5」は、縦2・15メートル、横3メートルの大作で、星雲を思わせるピンクや青のグラデーションが印象的だ。
米国留学時の77年の作品「レイニーブラック」は、黒の中に紫や青が浮かぶ。根岸さんは「絵を見てさまざまな思いを抱いてもらい、それぞれの世界を実体験してほしい」としている。
企画展は市制施行80周年と岡谷美術考古館の移転開館3周年を記念し、11月6日まで。10月2日、11月3日は根岸さんによる作品解説がある。10月9日には美術評論家の木下長宏さんと根岸さんの対談イベントもある。問い合わせは岡谷美術考古館(電話0266・22・5854)へ。