マイクを手にした亜季さん(右)のギャラリートークで作品を鑑賞する大勢の入場者=県立近代美術館

マイクを手にした亜季さん(右)のギャラリートークで作品を鑑賞する大勢の入場者=県立近代美術館

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藤城清治展入場3万人超す 娘の亜季さんが解説

北日本新聞(2016年10月20日)

 県立近代美術館で開催中の企画展「藤城清治 光よろこびメルヘン展」で19日、藤城さんの娘、亜季さんがギャラリートークした。緻密な風景画が生まれた背景や作品に込めた平和への願いなどが、予定を大幅に上回る2時間にわたって語られ、ファンは、家族だからこそ話せる創作秘話にじっくりと耳を傾けた。9月16日の開幕以来、連日大勢のファンでにぎわい、この日で入場者も3万人を超えた。

 日本を代表する影絵作家、藤城清治さんの初期作品から、おわら、雨晴海岸といった富山を題材にした最新作まで239点を紹介。亜季さんは藤城清治美術館那須高原代表理事で、藤城さんの活動を支えている。

 会場では、人魚が猫を抱く影絵「夕陽の中の愛の奇跡」(2004年)の前で亜季さんが、制作のきっかけがイラク戦争だったことを明かし、「どうしても何かを訴えたいという気持ちが強かった。愛があれば皆が平和になれるという願いが込められている」と語った。「玉ねぎと子うさぎとねこ」シリーズでは、制作に使ったカラーフィルターやトレーシングペーパーを見せ、独特の優しい色が出来上がるまでの過程を説明した。

 作品ごとに丁寧な解説があり、1時間の予定だったトークは1時間延長。長年のファンという伊藤ゆう子さん(66)=高岡市高陵町=は「作品への理解が深まり、いっそう親近感が湧いた」と話した。

 午後1時には開幕からの入場者が3万人を超えた。節目となった武内憲枝さん(41)=高岡市清水町、看護師=は、亜季さんから藤城さん直筆の色紙を受け取り、「ずっと見に行きたいと思っていた。作風の変化を楽しむことができた」と喜んだ。前後の高山昭一さん(65)=富山市大泉中町、自営業、林裕一さん(65)=高岡市赤祖父=にも記念品が贈られた。

 会期は11月13日まで。県立近代美術館と北日本新聞社主催。

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