小浜湾(福井県)の冬の味覚「若狭かき」の出荷がピークを迎え、同県小浜市内外海地区の養殖業者は連日作業に追われている。寒さが増す中で成長したカキは大ぶりで身が締まり、この時季がまさに旬。主に殻付きのまま、小浜の特産品として県内外に出荷されている。
同市内では十数軒の業者がカキを養殖している。40年余り営んでいる中島黎司さん(84)は19日も午前8時すぎに出港し、湾内のいかだからカキを引き揚げた。岸壁近くにある作業小屋では刃渡り約8センチのナイフのような道具を使い、殻の表面に付いたホヤやイガイ、藻などを削り落としていった。
殻をきれいにしたカキは、かごに入れ、岸壁の海中に沈めて一時保管。常連らの注文に応じて引き揚げ出荷する。
中島さんによると、昨年11月から出荷が始まった今季のカキは、昨季より約1・5倍の収量があり、サイズも10~20センチ前後と大きく育った。海水温は夏場は上がりすぎず、冬場には寒さが増したため「今季は数が多く、例年以上に大きさや身の締まりも十分。うまみが増すこの時季が一番おいしい」。焼いたり蒸したりするほか、炊き込みご飯にするのがお薦めという。出荷作業は降雪や強風の合間を縫いながら、3月末ごろまで続く。