たび寅が開発し、人工知能で宿泊料金を決定するシステム。パソコンで分析データなどを確認できる

たび寅が開発し、人工知能で宿泊料金を決定するシステム。パソコンで分析データなどを確認できる

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宿泊料金設定、AIが判断 諏訪の「たび寅」ホテル向け新システム

信濃毎日新聞(2017年1月24日)

 予約システムが付いたホテル・旅館のホームページ制作を手掛けるたび寅(とら)(諏訪市)は、人工知能(AI)を活用した宿泊料金決定システムを開発し、販売を始めた。ビジネスホテルなどは季節要因やイベントの有無といった状況に応じて頻繁な価格変更が必要で、売り上げを大きく左右する。新システムは、AIが自社や他社の空き室状況などから適正価格を判断し、客室稼働率を高めながら利益の最大化を図る。

 システム名は「イールド人工知能神の軍配」(仮称)。空き室や予約数、予約の変動状況のほか、競合施設の価格や空き室、地域のイベントで見込まれる集客数などを加味し、適正価格を判断する。価格判断を自動で検証する機能もあり、同社は「導入初期でも30年ほどの経験を持つ予約担当者レベル(の能力)で、さらに成長する可能性もある」とする。

 宿泊施設の料金は、担当者の経験や他社との比較で決めることが多い。都心のホテルでは1時間単位で変動し、業者の多くが判断に悩んでいるという。たび寅も価格設定などの代行業務を手掛ける中で難しさに直面し、昨年、AIのシステム開発を始めた。

 社員と、ロボットなどの先端技術を学ぶ都内の大学院生らのアルバイトで開発に当たり、宿泊施設の価格設定に使うために蓄積したデータやノウハウをAIに学習させた。当初はビジネスホテルやシティーホテルに売り込み、将来は料理などの要素も加味して価格を判断する旅館向けのシステムも開発する構想だ。

 導入費用は10万円で、基本の月額利用料は3万円。インターネット予約の売上高が、導入以降、前年同月より増えない場合は月額分を返金する。秋山晶子社長は「宿泊業者と運命共同体という経営方針は変わらない。取引先がAIでもうけた分で、質の高いサービスに投資できればいい循環になる」と話している。

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