展示している「榛の会」の年賀状。会の20回を記念した作家たち自画像の版画も並ぶ

展示している「榛の会」の年賀状。会の20回を記念した作家たち自画像の版画も並ぶ

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「榛の会」の100点ずらり イルフ童画館で展示

信濃毎日新聞(2017年2月11日)

 岡谷市出身の童画家武井武雄(1894〜1983年)が主宰し、1935(昭和10)年から20年余続いた版画年賀状の交換会「榛(はん)の会」の会員が残した年賀状の作品展が、同市イルフ童画館で開かれている。武井と交流した著名版画家も会員に名を連ねており、貴重な作品約100点が並ぶ。

 版画も手掛けた武井は、技術を磨こうと「榛の会」結成を呼び掛け、全国の作家161人が参加した。武井の版画に影響を与えたとされる恩地孝四郎(1891〜1955年)や棟方志功(1903〜75年)らのほか、県内では須坂市の小林朝治(1898〜1939年)が会員となった。

 恩地の作品は円や四角形、線を組み合わせた抽象的な表現が特徴で、年賀状も現代風なデザイン。小林は志賀高原やブドウ畑など郷土の風景を多く題材とし、36年の年賀状には牛の絵とともに「牛に引かれて善光寺」の言葉を添えている。

 展示した武井の年賀状は20枚。戦前は銅版画の代表作「地上の祭」を思わせる緻密な線で仕上げた作品が多いが、戦後は木版画だけで、同館学芸員の河西見佳さんは「版画の技法について試行錯誤した様子がうかがえる」と話す。

 作品展は4月10日まで。2月25日午後2時から学芸員による版画鑑賞の入門講座を開催。同26日午後2時からは、2009〜11年に信濃毎日新聞に「版の力」を連載した千葉市美術館学芸員の西山純子さんが、榛の会などについて講演する。ともに入場無料。問い合わせは童画館(電話0266・24・3319)へ。

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