夫、淳さんの遺志を継いでひな人形を飾り付ける水木さん

夫、淳さんの遺志を継いでひな人形を飾り付ける水木さん

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大正の「ひな飾り」再現 砺波で11・12日初公開

北日本新聞(2017年3月3日)

■夫の遺志かなえる

 砺波市中央町の「串懐石くりす亭」のおかみ、水木和美さん(63)は、戦時中に焼失した大正期のひな人形への思いを込めて再現したひな飾りを、11、12の両日に同店で初めて一般公開する。昨年64歳で急死した店主で、夫の淳(きよし)さんの思いをかなえたいと、休業中の店で展示する。水木さんは「普段見られないひな飾りから伝統を感じてほしい」と話す。

 大正期からあったひな人形は、淳さんの祖母、故菘(すずな)さんが所有し、くりす亭の前身で明治時代に創業した料亭「伊勢の浦」で飾られていた。1944年に、出町小学校長が児童を元気づけるため貸してほしいと願い出たが、菘さんは体調が優れず、設置に出向くのが難しいと断った。同年5月、料亭がある出町地区で火災が起こり、料亭と共にひな人形も焼けてしまった。

 淳さんの母、渡辺董(しげる)さん(84)は、菘さんから子どもたちに見せられなくて悔やんでいるとよく聞いていた。焼失前の人形一式を撮影した写真3枚が残っており、再現しようと全国を回り、約30年かけて御殿飾りや蹴鞠(けまり)人形などをそろえた。

 昨年1月、水木さんはひな飾りを譲り受け、店の2階の能舞台に飾り付けた。友人や客に披露し好評だったが、一緒に飾った淳さんは同年6月心筋梗塞で亡くなった。店主の急逝で店は休業し、水木さんはひな飾りを出すか悩んでいたが、「大正からの思いを受け継ぐ人形を来年以降も飾っていこう」と話した淳さんの言葉を思い出し、展示することを決めた。休業中で使っていない部屋を開放し、無料で一般公開することにした。

 水木さんは「常連客も来てもらって、店主を思い出してもらえればうれしい」と話している。問い合わせはくりす亭、電話0763(33)2036。

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