朝日町中心部で約30人のボランティアが協力して空き家を改修し、移住希望者が一定期間住むことができる「お試し住宅」を整備した。町内にIターンした男性の発案で、町の雰囲気や生活環境にあらかじめ触れ移住を決める際の参考にしてもらう狙いだ。町が新年度から利用を募る。
お試し住宅を提案したのは2012年11月にIターンした善田洋一郎さん(35)=長野県出身、朝日町南保。未知の土地で生活する覚悟を決めまちづくりに携わりたいと意欲的だったが、しばらく町民との接点が見つからず思い悩んだことがあった。
15年、町の活性化策や課題を議論する町再生会議に参加し、自身のアイデアを明かした。「移住者はものすごい不安を抱えてやって来る。いったん腰を下ろせる場所があれば移住決断のハードルを低くできるはず」と語った。
経験者の生の声を受け、具体化に向けた動きが活発になった。善田さんを含む町再生会議の定住・交流班は、移住定住促進に加え、あいの風とやま鉄道泊駅周辺の空き家などを活用したエリア構想を検討。町中心部にある築50年以上の古民家を利用し、暮らし体験ができる住宅を整備することにした。
同班リーダーで一級建築士の坂東秀昭さん(42)=同町平柳=が所有者と交渉し、昨秋までにまとめた。今年1月下旬から同町末広町で木造平屋建ての改装に着手し、町内外から集ったボランティアが塗装やふすまの張り替えといった作業に汗を流した。
坂東さんは「移住者のための環境づくりを行政に依存するのではなく民間主導で行えたのは大きな成果だ。人間関係の構築など住んでからのフォローもしっかり担っていきたい」と力を込めた。
住宅は町が借り上げ、利用希望者に6カ月~1年の期間で貸し出す。4月から広報やホームページで募集する。