屋敷があった真田公園に立つ恩田木工民親の像

屋敷があった真田公園に立つ恩田木工民親の像

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恩田木工の功績に光 松代藩の財政改革に尽力

信濃毎日新聞(2017年3月10日)

 江戸中期に窮乏した松代藩の財政改革に尽力した家老、恩田木工(もく)(1717〜62年)が生誕300年の節目を迎えた今年、地元の長野市松代地区では功績を顕彰する多彩な催しを企画している。経済界などでは知られた存在というが、藩主真田家や幕末の思想家佐久間象山の陰に隠れがちなだけに、改めて光を当てる。「ポスト真田丸」の誘客につなげようと、講演会やゆかりの地巡りなどを予定する。

 昨年はNHK大河ドラマ「真田丸」放送により、大勢の観光客でにぎわった松代地区。今年は入り込みの反動も予想されており、地元では次の一手に知恵を絞る中、地域活性化の柱として恩田が浮上した。業績は「日暮硯(ひぐらしすずり)」に記され、屋敷のあった現在の真田公園に銅像、松代公民館前に石碑が建つほか、真田家菩提(ぼだい)寺の長国寺に墓がある。

 恩田について理解を深めようと、地元のNPO法人夢空間松代のまちと心を育てる会は5〜7月、「松代藩の財政窮乏と恩田木工」をテーマに3回の講座を企画。5月20日の「信之以後の松代藩と財政窮乏」では、真田家初代藩主信之の没後、幕府の事業の割り当てなどで財政が悪化していった経過を紹介する。

 6月24日は「恩田木工の財政改革」。領民との信頼関係を築き、未納年貢の帳消しや農民課役の廃止を進めた財政改革に関する内容だ。最終回の「『真田騒動』にみる恩田木工民親」は7月22日で、恩田を描いた池波正太郎の代表作「真田騒動」を取り上げる。いずれも午後1時半〜3時半で、会場は松代公民館。

 恩田や恩田を登用した真田家6代藩主幸弘ゆかりの地を巡るまち歩きの実施や、マップ付き冊子製作のほか、恩田の生涯を描いた漫画や紙芝居作り、その生き方を学ぶ展覧会やギャラリートークの開催も検討。同NPO理事長の香山篤美さん(68)は「松代になくてはならない人。先行き不透明な現代にあって、生き方を考えるヒントにもなる」と話している。

 問い合わせは、夢空間松代のまちと心を育てる会(電話026・278・1277)へ。

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