江戸時代から明治時代にかけて、中山道を旅した人が休憩した立場(たてば)茶屋だった上松町寝覚の「たせや」が1日、資料館としてオープンした。古い建物には趣があり、休憩した大名の名前や一行の人数などを記した文書などの資料も残っており、当時を知ってもらえればと、所有者の男性らが公開することを決めた。
たせやは、350年ほど前に岐阜県中津川市田瀬から移り住んだ先祖が建て、大桑村の須原宿と上松町の上松宿の間の休憩所として使われた。現在の建物は1869(明治2)年に建て替えられた木造2階建て。民宿として使われた時期もある。所有者の会社員長谷川徹さん(53)と、近くに住む町文化財保護審議会長の大畑直巳さん(56)が話し合って活用することにした。
見学できるのは1階の畳の広間と、位の高い人が休んだ座敷の2部屋。帳簿や旅の目的などを記した資料があり、「50人分の食事を用意した」といった趣旨の記述も残る。大畑さんは「昔の人がどう過ごし、1日にどれくらい歩いたかなどが分かる貴重な資料」と話している。
たせやは浦島太郎伝説がある名勝・寝覚の床に近い。カメに乗った浦島太郎が描かれた掛け軸も見られる。
開館時間は午前9時〜午後6時で、見学は無料。休館日は設けないが、事前申し込みが望ましい。問い合わせは町観光協会(電話0264・52・1133)へ。