張り替えた天井の出来栄えを確認する(左から)坂口会長、稗苗さん、中平事務局長=国泰寺の茶室「春樹庵」

張り替えた天井の出来栄えを確認する(左から)坂口会長、稗苗さん、中平事務局長=国泰寺の茶室「春樹庵」

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茶室天井に「藤箕」の技 高岡・国泰寺の春樹庵

北日本新聞(2017年6月18日)

 製作技術が国の重要無形民俗文化財に指定されている氷見市論田・熊無地区の農具「藤箕(ふじみ)」の技が、臨済宗国泰寺派大本山・国泰寺(高岡市太田)にある茶室「春樹庵(しゅんじゅあん)」の天井に生かされていることが分かった。藤箕は穀物を運んだり選別したりするために植物のつるなどを編んで作る道具。傷んだ天井の修復がきっかけで判明し、修復作業に当たった論田・熊無藤箕保存会は「茶室の天井にも使われた藤箕製作技術を次代に伝えたい」としている。 

 春樹庵は1936年に建てられ、県内の茶道各流派が協力して年8回の「月釜」を開いている。天井はスギの樹皮で編んだ四角い網代(あじろ)を中心に、周囲をフジの樹皮と竹などで編んだ4枚の板が囲む造りになっている。完成から80年が経過し、フジの樹皮などの傷みが激しくなっていた。

 茶道各流派でつくる月釜会事務局(中平宗久事務局長)が、富山市鍋田の大工、稗苗良二さん(65)に天井の修復について相談。4月初めに稗苗さんが確認したところ、藤箕の技術で作られた天井だと分かった。

 稗苗さんは、藤箕作りの技を継承している同保存会の坂口忠範会長(71)=氷見市熊無=に修復を依頼した。坂口会長は「これほど大きなものは作ったことがなかったが、先人ができたのならと、引き受けた」と振り返る。

 17日に張り替え作業を行い、稗苗さん、坂口会長、中平事務局長らが出来栄えを確認した。稗苗さんは「藤箕の技術で作られた天井を初めて見た。貴重なもの」と話し、坂口会長は「昔の技術を再現できた。今後も受け継いでいきたい」と喜んでいた。

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