被爆クスノキで作ったオートバイを眺める音琴さん=いなみ木彫りの里創遊館

被爆クスノキで作ったオートバイを眺める音琴さん=いなみ木彫りの里創遊館

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被爆クスノキで木彫バイク 長崎出身音琴さん制作

北日本新聞(2017年8月8日)

 長崎県出身の井波彫刻師、音琴(ねごと)冰春(すいしゅん)さん(57)=砺波市杉木=は、長崎で原爆の被害を受けた「被爆クスノキ」を使い、オートバイの木彫作品を制作した。原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さを若い世代に知ってほしいと、枯死寸前から復活した長崎復興のシンボルに合わせ、「火の鳥」をイメージした。10月初旬から長崎の平和公園内に展示されるのを前に、8月末まで南砺市のいなみ木彫りの里創遊館で公開している。

 被爆クスノキは、長崎市の山王神社境内にある高さ約20メートルの一対の巨木で、樹齢600年と推定される。同市出身の歌手、福山雅治さんの曲「クスノキ」のモデルになっている。

 昨年9月、いなみ木彫りの里にある音琴さんの工房を訪れた樹木医の海老沼正幸さん(長崎)から「治療の際に伐採した部分を使って作品を仕上げてほしい」と依頼され、クスノキの枝や幹を譲り受けた。今年1月から制作を始めた。

 作品は全長3メートル、高さ1・5メートル、重さ160キロ。チェーンソーやのみで作り上げた。

 ハンドル前のしゃれこうべの目に原爆のきのこ雲を映し、車体にはけん玉や手まりを彫って子どもら犠牲者への鎮魂の思いを込めた。

 音琴さんは高校卒業後、富山に移住し彫刻の世界に入った。2013年から8月に核廃絶を訴える彫刻の公開制作を同工房前で行っている。

 長崎には被爆2世の同級生など今も苦しむ人が身近にいるとし、「富山も大空襲で多くの人が亡くなっている。戦争の悲惨さを風化させないよう次の世代へ伝えていかなければいけない」と話している。

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