「慶地の棚田」や周囲の山々が一望できる展望台=十日町市東下組

「慶地の棚田」や周囲の山々が一望できる展望台=十日町市東下組

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「慶地の棚田」に新名所の展望台 里山の絶景一望 十日町

新潟日報(2017年9月15日)

 十日町市東下組に広がる「慶地の棚田」に展望台が整備された。眼下に棚田を見下ろし、周囲の山々も見渡せるパノラマビューが楽しめる。過疎と高齢化に直面する地域で、住民自ら山を切り開き完成にこぎ着けた"新名所"は、里山を保全しながら活性化を目指すシンボルだ。

 慶地の棚田は約7ヘクタールに100枚ほどの水田が連なる。標高約370メートルに位置する展望台の整備は、中山間地域等直接支払制度に基づく東下組集落協定が主管する「東下組里山の魅力発見プロジェクト」の中心事業。雑木が生い茂る小高い山を、昨秋から住民が約300平方メートル切り開いた。

 東下組は、同市の北の玄関口・下条地区の東部山間地にある。1950年代には200世帯以上だったとされるが、過疎化が進み現在は75世帯に。2004年の中越地震で被災し数日間孤立したこともあった。09年には地域の中心だった東下組小学校が134年の歴史に幕を閉じた。

 一方で、こうした状況が危機感とともに「何とかしなければ」という一体感を住民にもたらすことになったという。秋まつりを始めたり、都市部から農業を体験する「草刈隊」を招いたりする交流も始めた。

 交流を通し、住民は足元の棚田をはじめとする里山に対しての認識を新たにする。同集落協定代表の小宮山清一郎さん(66)は「訪れた人たちはみんな『いいところだ』と喜んでくれ、この地が魅力ある地だと初めて気付いた。地域の人も外部との交流を生きがいと思っているのでは」と話す。

 この経験から、住民自らが地域の里山を見直して磨きをかけようと動き出したのが「魅力発見プロジェクト」だ。メニューには展望台整備のほか、ホタル観賞やウオーキング大会、写真コンテストなどが並ぶ。

 過疎化や担い手不足は深刻だ。天水田の棚田は水の管理などで手がかる。棚田がある慶地集落は既に住む人がおらず、集落を離れた人が通って耕作している水田が多いという。

 「このままいけば耕作放棄地が出てくることも考えられる」と不安を感じるという小宮山さん。それだけにプロジェクトへの思いも大きい。「地域を見直すきっかけになってほしい。外部から人が入ることが刺激になり、自ら行動する人も出てくると思う。みんなでカバーしなければ」と期待している。

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