南アルプスと天竜川沿いの景色が見渡せる新工場の建設予定地=松川町

南アルプスと天竜川沿いの景色が見渡せる新工場の建設予定地=松川町

長野県 伊那路

松川町のリンゴ ブランデーに

信濃毎日新聞(2017年9月23日)

 ワインやジュースなどを製造販売する信州まし野ワイン(下伊那郡松川町)は、松川町特産のリンゴを使ったブランデーの生産に乗り出す。10月にも新工場を着工し、来年3月以降に生産を始める。地元で10種類以上のリンゴが栽培されている利点を生かし、季節ごとに味わいの異なるブランデーを生産。新たな地元特産品として売り出す考えだ。

 自社ワイナリー(ワイン醸造所)の隣接地に、延べ床面積約300平方メートルで木造平屋の新工場を建築する。1500万円程度のドイツ製蒸留器を設置するほか、貯蔵庫や発酵タンクなどを置く。窓を多く設け、外部から見学できるようにする。

 総工費は1億3千万円。6次産業化を支援する農林水産省の交付金や、農協グループが生産振興のために設けた「アグリシードファンド」の出資を活用する。今後、インターネットを通じて出資を募るクラウドファンディングで、1千万円余の資金を調達する計画だ。

 リンゴのブランデーは、フランス・ノルマンディー地方で造られる「カルヴァドス」が知られる。ワインやジャム製造のサンクゼール(上水内郡飯綱町)が6月に本格生産を始め、リンゴ産地の青森県でも造られているが、国内生産はわずか。リンゴの品目が「ふじ」などに集中する他産地に比べ、地元には酸味や渋味も持ち合わせる品種もあり、「味に深みが出せる」とみている。

 新工場ではブランデーのほかに、高級シードル(リンゴの発泡酒)も生産する。これまでもシードルは生産してきたが、果肉成分を除去したり、たるで熟成したりする高級志向の製品にする。

 高級シードルは2019年6月、ブランデーは熟成を経て21年に販売する見通し。販売から5年後には、高級シードルで年間3500本(1本750ミリリットル)、ブランデーで500本(1本500ミリリットル)の生産を計画する。

 須山浩専務は「多くの品種を栽培する地域の特性を生かしたお酒を造りたい。結婚式や記念日など向けにも提案し、若い世代にも魅力を知ってほしい」としている。

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