■3年ぶりに開催
江戸時代に霊山立山に登ることを許されなかった女性たちが極楽往生を願った儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」が24日、立山町芦峅寺で3年ぶりに開催された。白装束に身を包んだ女人衆が朱塗りの布橋を渡り、立山信仰の世界に浸った。
県内外から110人が女人衆として参加。閻魔(えんま)堂でざんげの儀式を行った後、教典に節を付けた仏教音楽「声明(しょうみょう)」や雅楽に導かれ、煩悩の数と同じ108枚の板で組まれた橋をゆっくりと進んだ。
橋の先にある遙望館では暗闇の中で儀式が行われた。女人衆が目隠しを解くとガラス壁の覆いが上がり、陽光に照らされた立山が目前に広がった。女性たちは静かに手を合わせ、心を新たにしていた。
北陸新幹線開業後の初めての開催。好天に恵まれ、県内外から大勢が訪れた。住民が山の幸を集めた「ごっつぉ祭り」でもてなした。
儀式は明治期の廃仏毀釈(きしゃく)で廃れたが1996年の国民文化祭で復活。現在は3年に1度、地元住民や町、北日本新聞社などでつくる実行委員会(会長・佐伯元信芦峅寺総代)が開いている。