鎌倉時代の善光寺門前を復元した県立歴史館の常設展示室。展示説明を受信したタブレット端末を手に展示を見て回ることができる

鎌倉時代の善光寺門前を復元した県立歴史館の常設展示室。展示説明を受信したタブレット端末を手に展示を見て回ることができる

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「可視光ビーコン」観光で活用実験 千曲の県立歴史館で

信濃毎日新聞(2017年9月30日)

 情報通信技術をテーマにした信州大工学部(長野市)が母体の産学連携組織「地域ICT研究会」が、目に見える光を使った「可視光ビーコン(位置情報発信装置)」の観光面での活用に取り組んでいる。県立歴史館(千曲市)の常設展示室では今月、LED照明の可視光ビーコンを使い、来館者に貸し出すタブレット端末に展示説明を表示させる実証実験を開始。日本語のほか英語、中国語、韓国語に対応しており、外国人観光客の誘客などに役立てたい考えだ。

 地域ICT研究会は信大工学部の笹森文仁教授(45)=通信工学=が代表で、4月に発足した。可視光ビーコンは、情報通信機器の開発などを手掛ける長野テクトロン(長野市)と2015年から共同研究をしており、昨年3月に長野市少年科学センターで運用を開始。昨年夏には、県信濃美術館併設の東山魁夷館や長野市立博物館で2〜3週間の実証実験もした。

 県立歴史館では、常設展示室の8カ所に可視光ビーコンを設置した。高速の点滅で位置情報を発信しているという。来館者が可視光ビーコンの下に立ち、同館が貸し出すタブレット端末の受信器に光を当てると、無線LANの「Wi―Fi(ワイファイ)」を通じてサーバーから端末に、その展示場所の説明が送信される仕組み。

 ナウマンゾウの展示は、説明文と写真が画面に映し出される。説明文は自動的に読み上げられ、言語を切り替えることもできる。説明文の翻訳は信大の留学生が担当し、ナレーションはプロに依頼した。鎌倉時代の善光寺門前の様子や江戸時代の農家の住宅を復元したスペースは、説明を端末で見聞きしながら展示スペース内を歩き回ったり、建物のはりなど近づいて見ることができない部分を画面上でじっくりと観察したりできる。

 同館は団体客を中心に職員がガイドをするほか、日曜と祝日には地元のボランティアが展示説明をしているが、常時対応はできない。外国語の展示説明がないため、外国人観光客にも十分対応できていないという。笹森教授は「長野県は美術館や博物館が多く、可視光ビーコンの活用でスタッフの労力を低減できる利点もある。図書館などほかの公共施設でも活用できるのではないか」と期待している。

 27日に旅行で県立歴史館を訪れ、タブレット端末を利用した奈良市の武田章良さん(58)は「音声を聞くにはイヤホンがあった方がよかったが、耳で聞き、目で追いながら展示を見ることができてよかった」と話していた。

 同研究会は、改良しながら実証実験を約3カ月続ける予定。同館は、期間中になるべく多くの人に利用してもらい、アンケートに協力してほしいと呼び掛けている。タブレット端末の貸し出しは無料。

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