ゲストハウスとして再出発した松葉屋旅館。八角形の望楼が目を引く

ゲストハウスとして再出発した松葉屋旅館。八角形の望楼が目を引く

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「八角望楼」ゲストハウスで再出発 大町の大正8年建築旅館

信濃毎日新聞(2017年10月6日)

 大町市の中心商店街にある大正時代に建てられた旧「松葉屋旅館」が今月、ゲストハウスとして本格営業を始めた。6〜7月に市内で開かれた「北アルプス国際芸術祭」でも、その大正ロマンの風情に訪れた多くの人々が注目。2011年の旅館廃業から6年ぶりに、赤い屋根の八角望楼を持つかつての街のシンボルが復活した。

 松葉屋旅館は1919(大正8)年の建築。木造3階建ての洋風の外観で、屋上に八角形の望楼があるのが特徴だ。当時は大町で一番高い建物で高級旅館として知られたという。戦後も、56年に着工し63年に完成した黒部ダムの工事関係者や登山客を中心に大勢の客でにぎわった。

 長らく中村保子さん(82)が切り盛りしてきたが、体調不良もあって6年前に廃業。その後、近くに住む親戚の中村直人さん(33)が、1日限定のカフェを開くなど活用策を模索してきた。

 幼少の頃から何度も足を運んだ思い出の建物。「歴史と文化が詰まった建物が使われなくなるなんてもったいない」との思いから、長期滞在できる素泊まりのゲストハウスとして再生しようと決意。今年6月に旅館営業の許可も取った。

 直人さんは北アルプス国際芸術祭の実行委員も務め、芸術祭の期間中にプレオープン。「さまざまな人と巡り会う場に」との思いを強くしたと話す。全8部屋で最大20人が泊まれる。保子さんも「代々続いてきた旅館を守る責任感を持ってやってほしい」と応援している。

 「大町に残る歴史ある建物の一つとして、街の活性化にもなれば」と直人さん。営業再開記念として、7日から市内の美術家青島左門さんの絵画展を館内で開く。入場無料。館内や望楼の見学もできる。問い合わせは同館(電話0261・25・1152)へ。

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