瀧本邸

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邸宅後世に残すために 上越の4邸初の一斉公開 19日

新潟日報(2017年11月17日)

 上越市内の個人所有の名家4邸が19日、一般向けに初めて一斉公開される。4邸の知名度を上げるとともに、維持修繕の現状やボランティアの必要性を知ってもらい、今後の保存の仕組みを考えてもらいたいとの思いを込めている。

 公開されるのは、いずれも明治期~大正期に建てられた保阪邸(戸野目)、瀧本邸(頸城区)、白田邸(同)、林富永邸(三和区)の4家で、いずれも地主などを務めた名家だった。保阪邸と瀧本邸、林富永邸はこれまでも独自に公開していたが、白田邸の一般公開は初めて。

 各邸は築年数が古く広いことから維持・修繕費の捻出が課題だった。文化財として行政からの補助金などもあるが、当主の負担は大きい。住居としている邸宅もあり、日常的な清掃などは当主だけで行っていることも維持保全の悩みとなっていた。

 そこで、日本庭園や和風建築の講座などを開いている「庭屋一如研究会」(新潟市)と、当主らが現状を知ってもらおうと一斉公開を企画。同じ日に公開することで訪問者の回遊性を高め、邸宅維持の現状を伝えられるのでは、と計画した。

 瀧本邸の15代当主、瀧本宜弘さん(55)は「風情のある建物と庭なのでイベントに使ってもらい地域活性化に貢献したいと思うが、手を入れなければ朽ちてしまう。個人では難しいことも多く、なんとか策を見いだしたい」と話す。

 研究会の藤井哲郎主宰(59)は「4邸は地域の大事な宝。所有者の負担を減らして後世に残していけるよう、一斉公開で多くの人に考える機会にしてもらいたい」と呼び掛けている。入場料は各邸で異なる。公開時間も異なるが、おおよそ午前10時~午後3時は入場可。問い合わせは庭屋一如研究会、025(224)6202。

<保阪邸> 明治期の建築。邸宅のガラス障子から見える紅葉が見頃。離れの客間「怡顔亭(いがんてい)」は、かつて詩人の堀口大学ら著名人が訪れたという。18~20日には、ランタンや映写機など明治期~昭和期の懐かしい品々を集めた企画展を開催する。

<瀧本邸> 回遊式庭園の中に日本家屋の離れ「懐徳亭」が現存している。伝統的な書院造りの懐徳亭は大正期に旧高田市内で建てられ、1940(昭和15)年に現在地に移築された国の有形登録文化財。庭園の「集義園」は、一面に広がるコケが見どころ。

<白田邸> 旧糸魚川市の大肝煎(きもいり)、斉藤家の建造物を大正期に現在地へ移築した。移築以前は、明治天皇の北陸巡幸の行在所として使われていたという。主屋は登録有形文化財。効率よく採光できるよう天窓が高く造られているなど趣向が凝らしてある。

<林富永邸> 高田藩時代には藩の御立林だった。母屋は明治期の建築で、市の指定文化財。屋根のカヤは、ことし葺(ふ)き替えたばかり。一般公開の時には邸内のいろりに火を入れる。小高い庭からは地区の田んぼを見下ろすことができる。

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