保存会が黒木御所跡前に設置した泉・平清水の史跡案内板(右)=佐渡市

保存会が黒木御所跡前に設置した泉・平清水の史跡案内板(右)=佐渡市

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佐渡金井地区・平泉文化財保存会 史跡を清掃、案内板設置

新潟日報(2017年11月20日)

 佐渡市金井地区の泉、平清水集落で文化財の保護に努める地域団体「平泉文化財保存会」が発足45年を迎えた。両集落の住民が会員として活動費を出し合い、順徳上皇ゆかりの黒木御所跡の清掃、史跡の案内板設置などを行っている。地域の拠点だった小学校の統廃合を機に始まった取り組みは、先人の思いを受け継ぎながら歴史遺産に故郷の誇りを見いだす。

 10月下旬、泉で開かれた年1回の会員研修。郷土史に詳しい顧問の元市職員、北見継仁さん(63)の案内で約20人が国指定文化財の北條家住宅、立野地蔵堂を見学した。

 立野地蔵堂には大半の会員が初めて入り、巧妙に描かれた地獄極楽図に驚いた。会長の曽我敏郎さん(69)は「地域でも知らないことが多い。活動に携わることで史跡の価値や地元の良さが改めて分かる」と語る。

 保存会の設立は1972(昭和47)年。学区の旧平泉小が少子化、建物の老朽化を理由に統廃合されることが背景にあった。文化祭や運動会は住民も参加し交流を楽しんだが、廃校後の地域活動が見えなかった。

 泉には国指定の木造聖観音立像を所蔵する本光寺や世阿弥の配所と伝わる正法寺、平清水には毘沙門堂など文化財、歴史的建造物が多い。旧金井町では文化財保護条例が68年に制定されており、有志の思いは史跡の保存・活用に向かった。

 発足時のメンバーの男性(86)は「精神的なよりどころがなくなることが不安だった。地域コミュニティーを保つためにアイデアを出し合った」と振り返る。

 活動は春から夏にかけて年4回行う史跡周辺の草刈りや清水の掃除、案内板の設置・補修などがある。これまで義民久兵衛の顕彰碑を建立、御所跡に隣接する順徳帝文学公園の歌碑設置にも寄付した。2年前には御所跡と文学公園に関するガイドブックを千部作成、昨年さらに千部を刷った。

 会費は1戸300円。発足時は全戸が会員だったが、近年は宅地開発に伴う若者の増加などで全戸加入は難しくなっている。事務局によると、2016年度は2集落の8割ほどになる260戸余が会員だという。

 小学校閉校後、共同の活動がほとんどなくなった中で保存会の意義は大きい。平清水の区長金田英次さん(69)は「顔見知りが多いが、先輩が築いてきた歴史を大切にして絆を維持したい」と力を込める。

 地道に汗を流し、故郷の財産を後世に残す。保存会は同時に先人が託した「心の遺産」も継承していく。

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