修復が完了した掛け軸を眺める舩木宮司(左)と岩崎さん

修復が完了した掛け軸を眺める舩木宮司(左)と岩崎さん

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室町の天神様よみがえる 富山の新川神社

北日本新聞(2017年12月4日)

 富山市新庄町2丁目の新川神社に江戸期以前から伝わるとされる天神様の掛け軸の修復が完了し3日、同神社に納品された。依頼を受けた南砺市岩屋(井波)の表具師、岩崎正克さん(47)が修復を担当した。舩木信孝宮司(52)は「遷座当時から残る唯一の宝物が、前と変わらずきれいになってうれしい」と話した。

 郷土資料には、1615(元和元)年の大洪水で新川神社社殿が浸水した際、神職が室町時代の絵師による掛け軸などの宝物を持って避難したと記されている。神社は翌年に現在地に建て替えられ、掛け軸は唯一現存する当時の品という。

 劣化が激しいため、舩木宮司は6月、文化財保存修復学会(東京)の会員である岩崎さんに修復を依頼した。岩崎さんは学会の第一線の専門家に掛け軸を見せ、紙質や絵の具から室町期のものとみられると確認。絵の具が剥離していた表面に、にかわを繰り返し塗るなどした。完成品を舩木宮司に手渡し「歴史をつなぐ仕事ができて光栄。無事に納まってうれしい」と話した。

 掛け軸はしめ縄作りに集まっていた氏子50人に披露された。

 25日から来年1月25日の天神講まで神社横の舩木宮司宅の床の間に飾り、一般公開する。

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