「べんけい」を器に盛り付ける渡辺学芸員

「べんけい」を器に盛り付ける渡辺学芸員

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南相馬から砺波の味200年ぶり"帰郷"

北日本新聞(2017年12月28日)

 砺波地方発祥の家庭料理とされる「べんけい」が約200年を経て"帰郷"した。江戸後期に砺波地方から多くの農民らが移住した福島県南相馬市で郷土料理として伝わり、砺波郷土資料館にこのほど料理が届いた。南相馬で継承の危機にあるとされ、同館は「福島でつないでくれた伝統を再び砺波で盛り上げたい」と普及に努める考えだ。 (砺波支社編集部・石黒航大)

 10月、砺波郷土資料館に県内の女性からはがきが届いた。「砺波地方発祥の『べんけい』の由来などについて教えてほしい」との内容。砺波市出身の高原徹館長(69)も聞いたことがない料理名だった。渡辺礼子(あやこ)学芸員(48)が館内の資料から南相馬の料理だと見つけ、資料の寄贈者、南相馬市博物館職員の川崎悠(はるか)さんに連絡した。

 川崎さんによると、18世紀後半の天明の大飢饉(だいききん)で人口が激減した南相馬において、砺波地方からの移住者が現地で手に入れやすい食材で故郷の料理をアレンジした品がべんけいだとされる。移住者はべんけいを食べて古里を懐かしんだという。

 炒めた大根に酢を混ぜ、芋がらや唐辛子を加えて煮た後、冷まして完成。砺波市鷹栖地区の方言で、大根おろしに唐辛子を入れたものを表す「ベンケオロシ」が名前の由来の一つとされる。14日に川崎さんからべんけいが届き、資料館の職員で味を確かめた。

 東京電力福島第1原発事故の影響で南相馬を離れる若者が多く、べんけいは伝承の危機にある。渡辺学芸員は「試食会や調理講習を開き、戻ってきた砺波の味を広めていきたい」と話している。

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