ノドグロの性比の偏りを改善する研究に取り組む福西研究員=県水産研究所

ノドグロの性比の偏りを改善する研究に取り組む福西研究員=県水産研究所

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放流ノドグロの生存確認 富山市沖で県水産研

北日本新聞(2018年1月5日)

 高級魚ノドグロの栽培漁業技術の確立に取り組む県水産研究所(滑川市高塚)は、富山市沖で昨年2月に放流した稚魚が9カ月後の11月に生存しているのを発見した。シロエビ漁の網に偶然掛かっていた。放流したノドグロの生存が確認されたのは初めて。同研究所は「生態に謎が多く、放流の前例もないので意義ある発見」としている。一方、人工授精して育てた成魚に雌が極端に少ないことも判明。国から支援を受け、課題の解決へ研究を加速させる。(滑川支局長・小幡雄也)

 県水産研究所は2011年にノドグロの研究に着手。県産の親魚から人工授精で生まれた稚魚の飼育に成功するなど成果を挙げ、16年春から全国で唯一、放流を行っている。同年に2万5千匹、昨年に5万5千匹を富山湾に放した。

 同研究所によると、漁獲サイズまで育つには早くて4年かかるため、本格的な追跡調査はしていなかった。担当の福西悠一主任研究員(36)が昨年10月、放流場所近くで水揚げされたシロエビに交じる小魚の中にノドグロの稚魚がいるのに気付いた。漁期が終わる11月まで約40匹を見つけ、このうち1匹の鼻孔に、放流魚にしかない特徴があった。

 大きさは約10センチで、16年秋の人工授精で生まれ、昨年2月に放流された稚魚とみられる。放流時の約5センチから9カ月で5センチ成長しており順調なペースという。

 ノドグロは水深100メートル前後の深場に生息するとされ、放流後、生息域にたどり着くまでに他の魚に食べられる可能性があった。同研究所はヒラメやマダイなど放流の歴史が長く、生息域が浅い魚種と比べ一筋縄ではいかないとみていただけに、福西研究員は「比較的ストレスに弱く、天然の海で生き残れるか心配な部分もあったので、今回の発見は喜ばしい」と話す。今年からは、シロエビ漁などを定期的に調査したい考えだ。

 一方、研究のゴールは、人工授精から放流、水揚げまでのサイクルを確立し、漁獲量向上や安定供給につなげることだ。そのためには放流した稚魚が順調に育つことに加え、育った後に海中で産卵することも大切という。同研究所は既に人工授精の技術を確立していたが、受精卵から育てた成魚の一部の性別を調べると90%以上が雄で、雌がほぼいないことが分かった。

 本年度、水産庁から5年計画で年間900万円の調査費を受け、雌と雄がバランス良く生まれる生育条件の調査に昨夏から動きだした。約3万匹を水温の異なる3種の水槽で育て、今年中に性別を比べる。福西研究員は、雌が一定数いれば天然魚に頼っている人工授精用の採卵も独自でできるとし、「資源を増やすために雌の存在は不可欠。性比の偏りをなくす飼育方法を早く確立したい」と話している。


◆ノドグロ◆
 正式名称はアカムツ。口内が黒いことからノドグロと呼ばれる。大型だと1キロ1万円以上で取引される。すしや焼き物などで食べ、「白身のトロ」として近年人気が高い。県内の漁獲量は年間10~20トンで、石川県や新潟県より少ない。産卵場所や生育状況など詳しい生態は分かっていない。

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