国重要無形民俗文化財「尾口のでくまわし」を上演する「東二口文弥まつり」は10日、白山市東二口歴史民俗資料館で開幕した。東二口文弥人形浄瑠璃保存会員が哀調に満ちた「泣き節」と、「でく」と呼ばれる人形を使った鮮やかな舞台で観客を魅了した。
開演を告げる三番叟(さんばそう)と口上に続き、会員が源義経が元服するまでの人間模様を描いた「源氏烏帽子(えぼし)折」を熱演した。観客は人と人形が一体となって繰り広げられる「でくの舞」に見入り、物語の世界に浸った。
今年は金沢工大の学生6人が人形を操る「舞い手」として協力し、初日は3人が舞台裏に入った。昨年11月に1演目の太夫と三味線を担当する会員が亡くなり、保存会は追悼の意も込めてその演目を上演しないことにした。三味線なしの公演となる。
でくまわしは350年以上前から、旧尾口村の東二口と深瀬に伝わる。東二口文弥まつりは入場無料で、18日まで行われる。上演日程は次の通り。
▽11日午後2時「酒呑童子」▽17日午後7時「大職冠」▽18日午後2時「出世景清」