吉田東伍が刊行した「世阿弥十六部集」=阿賀野市

吉田東伍が刊行した「世阿弥十六部集」=阿賀野市

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没後100年歴史地理学者吉田東伍企画展 阿賀野の記念館

新潟日報(2018年2月26日)

 全国を網羅する地名辞書を書き上げたことで知られる阿賀野市出身の歴史地理学者吉田東伍(1864~1918年)。芸術分野の研究にも尽力し、能楽の大成者・世阿弥の名を世に知らせた功績もある。ことしは東伍没後100年、東伍が世阿弥の秘伝書を発見して110年の年に当たる。阿賀野市の吉田東伍記念博物館では「これを機に東伍が能楽界に残した功績を知ってもらいたい」と、2月27日から企画展を開催する。

 企画展のタイトルは「吉田東伍の『世阿弥発見』」で、同館が世阿弥に特化した企画をするのは初めて。東伍が刊行した十六部集の初版本のほか、論文の掲載誌なども展示し、発見から出版に至る経緯を紹介する。

 江戸末期の安田地区に生まれた東伍は13歳で学校に行くのをやめ、独学で歴史地理学を研究。31歳から約13年かけ、1人で日本全国約4万1千カ所の地名を収録した「大日本地名辞書」を完成させた。

 一方で、若い頃から日本の古典芸能にも関心があり、辞書を完成させた翌年の1908年には、東京の銀行財閥・安田家の書庫「松廼舎(まつのや)文庫」から世阿弥の芸術論が記された秘伝書を発見。わずか半年で解読し、09年2月に「世阿弥十六部集」として発表した。

 世阿弥の伝書は能役者や一部の権力者が所有し、東伍が発見するまで限られた人しか見ることができなかったという。この本の刊行をきっかけに能楽史の研究が一気に進み、世阿弥の名が知られるようになった。 遠藤勝館長は「東伍が能楽史に大きく貢献したことを多くの人に知ってもらいたい」と話している。

 企画展は4月15日まで。入館料は一般300円、小中学生150円。問い合わせは同館、0250(68)1200。

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