町屋が並ぶ富山市八尾町中心部。空き家を宿泊施設に再生するプロジェクトが進んでいる

町屋が並ぶ富山市八尾町中心部。空き家を宿泊施設に再生するプロジェクトが進んでいる

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坂の町を「ホテル」に 八尾の観光拠点会社

北日本新聞(2018年3月6日)

 富山市八尾町上新町の観光拠点「越中八尾ベースOYATSU(おやつ)」の運営会社が、空き家となった八尾町中心部の町屋を宿泊施設に再生するプロジェクトを進めている。周辺の飲食店や土産店と連携し、観光客が年間通じてまちを周遊する仕組みを整える。「八尾町平面ホテル化構想」と銘打ち、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに5棟を整備し、地域の魅力を高める。

 越中八尾ベースOYATSUは、土蔵造りの古民家を改装して2016年4月にオープンした。観光コンサルティング会社「OZLinks(オズリンクス)」(原井紗友里社長)が運営し、宿泊場所の提供のほか、イベントスペースの貸し出し、外国人向け体験ツアーの企画など多彩なサービスを展開している。

 観光名所をただ「見る」のではなく、伝統的な暮らしを「体感できる」場所として人気を集め、国内客だけでなくアジアを中心にフランスやオーストラリアからも観光客が増えている。東京五輪・パラリンピックで日本に注目が集まり、今後さらに訪日外国人観光客が増えると予想されており、宿泊需要の高まりに応える。

 構想では、空き家を生かしてOYATSU以外にも寝泊まりできる場所を点在させ、まち全体を一つの「ホテル」とすることを目指す。

 提供するのは宿泊サービスだけとし、食事や買い物は周辺の店を利用してもらうことで回遊性を高め、観光客が長く滞在する環境を整える。

 既に諏訪町と西新町の各1棟を改修できるめどが立ち、今年9月の「おわら風の盆」までに利用できるようにする。将来は中山間地域の家も活用する計画だ。

 原井社長は県の「とやま観光未来創造塾」の修了生で、おわらだけでなく、棚田や和紙すきといった資源を生かして通年観光を実現するために八尾で起業した。空き家のホテル化構想と並行して、地域の女性と共に着物を洋服やネクタイにリメークして商品化する事業も始める。

 原井社長は「観光客を増やすだけでなく、新たな雇用を生み出し、八尾の伝統を未来につないでいきたい」と話している。

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