職人の作業現場を見て回ることができる能作の社屋=高岡市

職人の作業現場を見て回ることができる能作の社屋=高岡市

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産業観光で自社アピール 県内企業が受け入れ強化

北日本新聞(2018年4月24日)

 「ものづくり県・富山」の企業が、産業観光の受け入れ体制を強化している。北陸新幹線開業によって観光客が増加していることを背景に、さらに人を呼び込むとともに、自社のアピールにつなげるのが狙いだ。旗振り役を担ってきた富山商工会議所(高木繁雄会頭)は今年、県内の拠点をまとめた冊子「富山産業観光図鑑」を生かし、訪問客拡大を目指す。

 鋳物メーカーの能作(高岡市)は昨年4月27日、職人の作業現場を無料見学できる新社屋をオープンした。有料の製作体験工房やショップ、カフェも人気で、1年目の来場者数は、当初目標の2倍の10万人に達する見込みだ。

 4人だった産業観光部のスタッフは、今春には元大手旅行会社員らを採用して16人に拡大。能作千春取締役産業観光部長は「季節ごとの客層を把握できた。1年目の経験を基に仕掛けていく」とし、収益アップに向けた低価格帯の土産品の増加やイベント内容充実に取り組む考えだ。

 若鶴酒造(砺波市)は昨年7月、北陸唯一のウイスキー蒸留所「三郎丸蒸留所」をリニューアルし見学コースを設けた。予想を上回って月平均1200人が訪れており、県外観光客や外国人が全体の4割を占めている。富山の素材を使ったオリジナル食品の発売や伝統産業との連携も展開する方針で「商品の販売増やブランド価値向上につなげていきたい」と意気込む。

 産業観光の拡大を後押ししてきたのは、富山商議所が中心となり、県商工会議所連合会が新幹線開業を機に発行してきた富山産業観光図鑑だ。最新版には約170の企業・店舗を掲載。専用アプリを起動してページを撮影すると、詳細な情報や企業のHPを閲覧できる手軽なアイテムだ。

 今年は一層きめ細かく利用してもらえるよう、高木会頭らが富山市内のホテルを回り、図鑑の活用方法をスタッフに実演指導していく予定。富山商議所の西岡秀次専務理事は「立山黒部アルペンルートなどを訪れた観光客に、少しでも長く県内に滞在し、一つでも多くの企業を見てもらえるようにしたい」と語る。

 今年に入って節目を迎えた施設もある。ファスナーやアルミサッシの仕組みなどを展示するYKKセンターパーク(黒部市)で、通算来園者数が1月に25万人に達した。新幹線開業後の来園者は15年度に3万人、16年度に4万人、17年度に4・5万人と着実に増加。生地地区のまちあるきとタイアップしたツアーも開催しており、YKKは今後も地元と協力した企画を展開していく意向だ。

 仕事や技術に触れることは、子どもの職業観を育むことにも役立つことから、将来の採用活動を見据えて取り組む企業もある。

 三協立山(高岡市)は射水市の3工場を開放し、中学校の授業の一環で生徒を受け入れたり、親子見学ツアーを開催したりしてきた。担当者は「子どもたちに会社名や商品を知ってもらうメリットは大きい。未来の"社員"が出てきてくれればいい」と話している。

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