豊臣秀吉が越前国内での独占的な商売を認めた朱印状=4月24日、福井県福井市の県文書館

豊臣秀吉が越前国内での独占的な商売を認めた朱印状=4月24日、福井県福井市の県文書館

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今立の豪商「内田家」ゆかりの朱印状や黒印状、里帰り

福井新聞(2018年4月25日)

 江戸時代の今立の豪商で越前和紙などを扱った内田吉左衛門家に伝わる文書約5500点が福井県福井市の県文書館に寄贈され4月24日、同館で速報展が始まった。文書は県外で保管されていた。約60年ぶりの里帰りとなる。豊臣秀吉が越前国内での独占的な商売を認めた朱印状や、結城秀康の黒印状の実物を県内初公開している。

 内田家は今立郡岩本村(現越前市岩本町)に本拠を構え、越前和紙をはじめ布、ろうそく、菜種、たばこ、薬、酒などを幅広く扱った。越前国内や江戸、京都、大坂の三都で商売を展開した。

 文書は1950年代に内田家が県外に転出して分散した。福井県史編さんの際にそのうち約3千点が撮影され、複製本として公開されている。撮影されていない約2500点を含む全ての文書の原本は、学習院大教授で内田家にゆかりがある高埜利彦さん=東京都=が学内で保管していた。今春の退官に伴い県文書館に寄贈した。

 速報展で紹介している秀吉の朱印状は1585年、越前府中を治めていた家臣の木村定重宛て。今立の商人野辺四郎右衛門に越前国内でのろうそくの独占的商売を命じている。同館によると、内田家が野辺家からろうそく商売に関する特権を引き継いだ際に渡ったとみられる。秀康の黒印状は1602年、「鳥子屋才衛門」に鳥の子紙以外の商売の税金を免除する内容。「鳥子屋才衛門」に関する資料はほどんど残っておらず詳細は不明だが、内田家が特権を引き継ぎ、渡ったとみられるという。上質な鳥の子紙が使われており保存状態が良い。このほか内田家の屋敷図1点、文書を収めていた木箱2点を展示している。

 内田家文書の里帰りを長年望んでいたという「越前和紙を愛する会」の石川満夫顧問=越前市=は「越前和紙をはじめ江戸期の越前の物流を研究する上で第一級の資料。越前和紙の御用紙すきに伝わる文書などとの横断的な調査が進むことを期待している」と話していた。

 速報展は5月27日まで。同館は資料を整理、調査した上で今秋から月替え展示を行う予定。

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