千曲市などが主催する「棚田貸します制度」で棚田のオーナーになっている人たちが2日、同市八幡の国名勝「姨捨の棚田」で田植えをした。青空の下、県内外から約300人が集まり、眼下の風景を楽しみながら稲の苗を1束ずつ丁寧に手で植えていった。
幅広い年代のオーナーたちは、長野盆地を見下ろす斜面に広がる約150枚(2・2ヘクタール)で一斉に作業。子どもははだしで田んぼに入り、泥の中から現れたカエルに驚きながら、等間隔になるよう苗を植えた。
都内で会社を経営する長岡稔さん(65)は、オーナーになり10年目。今年は同僚やその家族ら11人と参加し、「日本の伝統風景を守るお手伝いをしたい」と汗を流した。初参加の中学1年、若松琥音(このと)さん(12)は「稲を泥に入れる感触が楽しかった。80本は植えたよ」と喜んでいた。
オーナー制度は、棚田を守りながら都市部との交流を深めようと始まり23年目。本年度はオーナーが田植えや稲刈りなど主な作業を行う「体験コース」に66組、作業は地元農家が行う「保全コース」に22組が登録している。