「徒花flappers」を上演する劇団「幻像団」のメンバーら

「徒花flappers」を上演する劇団「幻像団」のメンバーら

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絶望からの純恋、迫真殺陣描く 劇団「幻像団」が公演へ

福井新聞(2018年6月11日)

 福井県福井市の劇団「幻像団(げんぞうだん)」の公演「徒花(あだばな)flappers~愛、以上の、恋。」は6月16、17日に坂井市みくに未来ホールで開かれる。愛しい人に会いたい一心で、女郎屋から命からがら逃げ出し古里に戻った少女を待っていたのは、友や家族の裏切りだった。深い悲しみと絶望を味わう少女を通して人の欲望と、はかなくも美しい恋心を時代劇に描いた。迫力ある殺陣や華やかな衣装も見ものだ。

 脚本は今回が7本目となる同劇団代表の安川雅人さん(43)=坂井市。演出も手掛け自身も出演する。舞台は江戸時代初期のある田舎町。女郎屋から逃げるのは「夏」という名の17歳の少女。夏をさらって売り渡した女衒(ぜげん)一味のリーダー「清明」や女郎屋の女将(おかみ)「真冬」らが後を追う。剣の達人でもある夏は、狂気の追っ手を斬りながら古里に戻ったものの、信じていた家族や親友からの裏切りとうそを知る。売られた秘密を明かされた少女は絶望の中...。

 芥川龍之介の「羅生門」をモチーフに書き下ろしたという安川さんは「結局人は生きるための欲望に走ってしまう」と物語の底流にあるテーマを説く。その上で「交わし合う愛より、一方通行の恋の感情の方が強い力をもつのでは。季節外れに美しい花を咲かすが、実をつけることはない『徒花』に少女らの純粋な恋心を重ねた」とタイトルに込めた意味を紹介する。夏を演じる堀江なつみさん(20)=福井市=は「純愛ならぬ"純恋"を伝えたい。感情がほとばしるような迫真の殺陣も見てほしい」と意気込む。

 客演を交え総勢19人が出演する舞台は、刀やライフル銃などが登場し、迫力あるせりふが飛び交う。今回初めて、あわら市を中心に活動する自主映画制作グループ「HOUND PROJECT」を招き、代表の岡田広さん(48)=同市=が殺陣指導に当たっている。役者としても出演し「バイオレンスの象徴と言える清明を通して、暴力の恐ろしさ、痛みを訴えたい」と話している。同グループは舞台のイメージCMを制作、ユーチューブで公開している。

 同劇団は1995年に「幻臓団」の名で発足、2003年に改称した。現在は10~40代の男女10人で構成、毎年2回の公演を続けている。

 16日午後7時、17日同2時から。前売り1500円、高校生以下千円(当日200円増)。問い合わせは劇団の竹田さん=電話090(4687)8417かブログhttps://ameblo.jp/genzou1995/

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