福井県越前市生まれの絵本画家いわさきちひろの生誕100年記念「平和への願い」展が6月20日、同市の「ちひろの生まれた家」記念館で始まった。「世界の子どもたちみんなに平和と幸せを」との強い願いが伝わる展示になっている。9月3日まで。
安曇野ちひろ美術館(長野)のピエゾグラフ作品12点と関連資料を展示した。広島で被爆した子どもたちの詩や作文に絵をつけた「わたしがちいさかったときに」は、ちひろが初めて戦争をテーマにした絵本。「とまとがたべたい」と母に請い、買い出しの間にやけどで亡くなった「トマトと少女」などが並ぶ。
ベトナム戦争をテーマにした「戦火のなかの子どもたち」の作品「たたずむ少年」は、少年のうつろな瞳や暗い色調が印象的。見慣れた愛らしい子どもの表情や色彩とは趣が違っている。絵本や画集、ちひろの自筆原稿(複製)、戦争の資料なども紹介している。
市観光協会とちひろ美術館(東京、長野)の共催。同協会の中桐充彦さんは「ちひろが戦争体験から訴えたかったのは何か、絵本などを手に取り背景まで感じていただけると見え方が違ってくる」と話している。
ちひろは1918(大正7)年12月、母岩崎文江が女学校の教師で赴任していた武生町で生まれた。記念館(府中1丁目)は本年度、4回に分けて生誕展を企画しており、今回は春展の「アンデルセンの世界」に次ぐ第2弾。高校生以上300円(中学生以下無料)。火曜休館。