平成の福井を教育で振り返る企画展「さようなら平成 ~世相と教育の移り変わり30年史~」が、福井県坂井市の県教育博物館で開かれている。県内学校の開校や閉校、学習指導要領の変遷などを、国内外の大きな出来事と照らし合わせながら年表に取りまとめているほか、「ゆとり教育」を巡る考察も行っている。5月6日まで。
平成教育事情と題したコーナーでは「減少する子どもと学校」を取り上げた。平成元年に約6万5千人いた県内児童数は昨年度、4万1千人まで減り、小学校は約5分の1が休廃校となって200校に減少。この推移をグラフで示した上で、子育て支援や、I・Uターン者を増やす取り組みの重要性を指摘している。
平成の30年間を4期に区分した年表では、県内と国内外の出来事を一覧にし、これらの変化と照らし合わせながら、学校週5日制スタートや総合的な学習の時間創設などの教育施策を示している。阪神大震災や神戸連続児童殺傷事件が発生した平成7~16年は、不穏な社会背景もあって「キレる」が流行語になり、心の教育が盛んに叫ばれたと解説。平成17~22年は、学力低下の懸念から「脱ゆとり教育」が進められたとした。
ゆとり教育については、国際的な教育動向調査の結果を世代ごとに比較した上で、"ゆとり世代"に「学力の後退を顕著に示すような差はみられない」と考察。柔軟な思考力が求められる中、詰め込み型に戻ることは現実的ではないとした上で、「探究心を持って学ぼうとする心を育み、個々の学習成果が社会で活躍する力につながる教育が必要」と訴えている。
「平成」「令和」と書かれた額縁で記念撮影できるコーナーがあるほか、「オバタリアン」「チョー気持ちいい」など平成の「新語・流行語」をクイズ形式にしたコーナーも。インスタントカメラや3・5インチ型フロッピーディスク、携帯ゲーム「たまごっち」、ゲーム機「スーパーファミコン」など平成を彩った懐かしの品々も展示されている。