本年度周遊を中止していた福井県小浜市のレトロバスが、8月から10月下旬までの土日・祝日限定で無料運行を始めた。まちの駅・旭座(白鬚)から蘇洞門巡りの遊覧船乗り場(川崎1丁目)を経由し、古い町並みが残る「小浜西組」へ向かうコースで、観光客をまちなかへ誘導して小浜の歴史文化をアピールするのが狙い。スタートした3、4日は猛暑やPR不足が響き、利用は低調だったが、徐々に知名度を高めていきたい考えだ。
小浜西組には格子窓、袖壁のある町屋が立ち並び、商家町や「三丁町」と呼ばれる茶屋町、寺町が共存。2008年6月9日に重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定され、風情ある雰囲気が特長だ。
レトロバス(定員18人)はボンネット型で各日5便運行。1周約40分で途中下車できる。歴史に詳しい市民ガイドが同乗。三丁町バス停では20分間停車し、同市飛鳥の旧料亭「蓬嶋楼(ほうとうろう)」前まで案内して解説する。「蓬嶋楼」見学や、時間をかけて三丁町散策をしたい場合は、バスに戻らなくてもいい。次の便を利用したり、歩いて旭座に戻ったりできる。
レトロバス運行は、まちの駅のオープンに合わせ、2016年から土日・祝日に市内を周遊する形で始まったが、乗客減に歯止めがかからず、本年度は取りやめていた。まちの駅の指定管理者オーイング(本社高浜町)が、市商工観光課と相談しながら活用法を企画、提案。市から約300万円で事業委託を受けた。
運行開始の3、4日は85人が乗車した。「空き時間があったから」と海水浴帰りに乗車した県外客のほか、市民もちらほら。オーイングの担当者は「小浜には海や食だけでなく、素晴らしい歴史文化があることをPRしたい。まちの駅を起点に、まちなかを散策する観光客が増えるきっかけになれば」と期待している。
10月27日までで、8月10~18日は毎日運行する。予約不要。期間中、延べ約1千人の乗車を目標にしている。