桑野遺跡の出土品685点を一括展示している企画展=福井県あわら市郷土歴史資料館

桑野遺跡の出土品685点を一括展示している企画展=福井県あわら市郷土歴史資料館

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縄文期あわら、大陸と交流か あわらで企画展

福井新聞(2019年10月3日)

 福井県あわら市の桑野遺跡の出土品685点を初めて一堂に展示する企画展「桑野遺跡と北陸の縄文装身具」(福井新聞社後援)が、市郷土歴史資料館で開かれている。装身具には日本産ではない石材も含まれていて、縄文時代に大陸と交流するほど豊かな地域だったことをうかがわせる。12月1日まで。

 桑野遺跡は、JR芦原温泉駅東側の加越台地東縁に接した丘陵上にあった。1992~94年に行われた発掘調査では、縄文時代早期末から前期の集団墓地と推定される24基の土壙(どこう)から、石環(せっかん)に切り目を入れてC字状にした玦状(けつじょう)耳飾りを中心とする石製装身具が大量に出土した。

 企画展では、2012年に国の重要文化財に指定された石製装身具類86点のほか、やじりや漁で使った重り、石おのの一部などを一括展示。装身具は未完成の品が一つも見つかっていないことから、当地で生産されたものではない可能性が高いという。海外産と推定される石材もあり、遺跡が営まれ始めた6800年前から既に大陸と交流していたことをうかがわせる。

 貝塚の一部をはがした状態そのままで見せる展示物も興味深い。貝塚からは海水魚と淡水魚の双方の骨のほか、イノシシやシカの骨も多く見つかっており、湾のような地形で近くに森林があり、食料の豊富な豊かな土地だったとみられる。

 石川、富山、新潟県の桑野遺跡と近い時代の遺跡から出土した装身具も展示しており、材質や形状などの違いを比較することができる。同資料館の学芸員は「桑野遺跡から出た装身具は大きく、質や加工の状態も良い。他の地域のものと比べることで豊かな暮らしだったことが分かる」としている。

 入場料は一般200円、中学生以下と70歳以上、障害者は無料。6日にフォーラム「桑野遺跡から見た縄文世界」を市民文化研修センター(金津本陣IKOSSA3階)で開く。定員80人。入場無料。問い合わせはあわら市郷土歴史資料館=電話0776(73)5158

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