製鉄遺構を保護する大屋根の前でテープカットを行う関係者=10月7日、福井県あわら市指中

製鉄遺構を保護する大屋根の前でテープカットを行う関係者=10月7日、福井県あわら市指中

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古代製鉄を学ぶ 施設、ミニパーク完成 福井・あわら

福井新聞(2019年10月8日)

 福井県あわら市細呂木地区の住民有志が整備してきた、市指定文化財「細呂木製鉄遺跡」(同市指中)の保存施設と古代の製造過程を学ぶことのできるミニパークが完成し、10月7日、完成式典が開かれた。子どもたちが地域の歴史を学ぶ場となるだけでなく、2023年春の北陸新幹線敦賀開業を控え、市の新たな観光資源となることが期待される。

 同遺跡は、JR細呂木駅西側の「福井鋲螺技術センター」敷地内にある製鉄遺構1~4号の4基で、18年1月に市指定文化財となった。4基中2基は奈良時代から平安時代に操業したと推定されており、遺跡からは製鉄時に出たとみられる鉄くずや土の焼け跡が見つかっているが、4基とも斜面に露出し、徐々に崩落が進む危機的状況となっていた。

 4基の保存と、遺跡周辺一帯の公園化を目指し、同地区の住民有志が17年11月に「たたら製鉄遺跡保存会」を設立。市文化財指定に向け働きかけたり、草刈りなど遺跡の環境整備に力を注いだりしてきた。

 昨年末には4基の崩落防止の盛り土や整地を実施、今年に入ってからは4基を覆い保護する大屋根を取り付けるなど、整備を本格化させてきた。

 公園の広さは1036平方メートル。1995年の同市細呂木小の移転工事の際、発掘されたものと同じ大きさで、古代から近世に「たたら」と呼ばれる製鉄で使われた炉のレプリカのほか、製鉄の手順を紹介した看板を設置。地面には大正から昭和初期にかけて同地区で盛んに作られていた「越前瓦」を砕いた「瓦チップ」を敷き詰めた。

 同会は今後、公園で市内の小学生を対象にした製鉄実習を行う。

 入園無料で自由に散策もできる。

 式典には同会のメンバーや同市の佐々木康男市長、敷地を所有する福井鋲螺の打本幸雄社長ら約80人が出席。同会の藤川龍七会長(76)は「地区の歴史を伝える拠点として、観光誘客につなげ、交流人口の拡大を図りたい」とあいさつした。

 式典後は早速、同市細呂木小の5年生が公園で同会のメンバーに教わりながら製鉄実習を行った。

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