「糸(ヤーン)」に着目した国内最大規模の繊維展示会「北陸ヤーンフェア2019」が10月16日、福井県福井市の県産業会館で始まった。大手合繊メーカーや県内の糸加工企業など全国の59社・団体が、機能性を追求した最新の素材や環境に配慮した糸を出展。北陸のテキスタイル関連企業の関係者らが大勢訪れ、活発な情報交換や商談が行われた。17日まで。
同フェアは大阪市の繊維商社が2016年に始め、昨年から福井、石川両県の繊維協会が主催する形に移行。県内開催は初めてとなる。出展社数は前回の石川開催よりも2割増加した。北陸は化合繊織物・編み物の一大産地で、糸の大消費地でもあるため、「糸」メーカーとのマッチングの場をつくり、新商品開発や商機拡大につなげる狙いがある。
フェアのテーマは近年、欧州を中心に繊維業界でトレンドとなっている「エコロジー」と「サスティナビリティ(持続可能性)」。帝人フロンティアや旭化成、東レなどの大手はペットボトル再生繊維、一部に植物性由来原料を使用したポリエステル系素材、セルロース繊維などを中心に提案した。
県内関連は支店を持つ企業を含めて13社・団体が参加した。鯖江市に工場を持つKBセーレン(大阪市)は、強度や弾性に優れた液晶ポリエステル繊維といった高機能の素材を展示し、卓球ラケットの部材などスポーツ用品にも用途が広がっていることを紹介した。日華化学(福井市)は繊維用加工薬剤を出展した。
山甚撚糸(同市)は、サスティナビリティ向けに開発したばかりのペットボトル再生繊維とレーヨンとの複合加工糸などを展示。山田雅浩社長は「加工糸の用途を広げるには、この展示会は大きなチャンス。新たな製品開発にもつながる」と話し、来場者と積極的に情報交換していた。
県繊維協会の藤原宏一会長は「北陸の産地は長らく合繊メーカーの系列として栄えてきたが、近年はその垣根も低くなってきた。ヤーンフェアは新たな素材を知る機会になり、違った商品をつくるチャンスとなる。ゆくゆくは海外企業も参加するインターナショナルなフェアにしていきたい」と強調した。