県内で初めて発見された「御流神道」の奥義をまとめた古文書=福王寺

県内で初めて発見された「御流神道」の奥義をまとめた古文書=福王寺

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県内初 古文書発見 真言宗の神仏混交思想の奥義

北日本新聞(2019年10月22日)

 真言宗が鎌倉時代に説いた神仏混交思想「御流神道(ごりゅうしんとう)」の奥義をまとめた古文書が、射水市加茂中部(下)の真言宗福王寺(尾山義照住職)で発見された。江戸時代中期の同寺住職が書写または入手した可能性がある。古文書には、鎌倉~江戸時代の歴代天皇が即位礼で行い、当時は秘密にされていた儀式「即位灌頂(そくいかんじょう)」の次第も記されていた。県内で初めての発見で、射水市新湊博物館は「浄土真宗が多かった江戸時代の県内の仏教文化の中で、真言宗の貴重な資料」としている。

 古文書は9月に福王寺の本堂で発見され、「御流神道竪印信集(たていんじんしゅう)」と書かれていた。和紙を折って製本されており、縦17・6センチ、横12・5センチ、108ページ。

 御流神道竪印信集は鎌倉~室町時代に成立した書物で、御流神道の思想やこれに基づく儀式の次第をまとめている。御流神道に関する資料や書物は江戸時代まで盛んに書き写されていたが、明治維新に伴う神仏分離令の影響で多くが失われた。

 発見された古文書は51項目に分かれ、即位灌頂の作法も記されている。儀式では、京都御所の玉座「高御座(たかみくら)」に入った天皇が決められた順番で両手を結び、仏に祈る言葉「陀羅尼(だらに)」を唱え、自らが仏と一体となることを観想する。天皇が神道だけでなく仏教でも重要な地位にあることを示す行事だったとされる。

 同寺では、御流神道の教えを目で見える形で伝えるために描かれた「三種の神器図」が4月に県内で初めて見つかっており、射水市新湊博物館の松山充宏主任学芸員は「福王寺が地方の御流神道の発信源だったのが分かる」としている。江戸時代に、京都から遠く離れた射水の人々も、書物から藩主や将軍の上位に天皇が存在する事実を理解していたと考えられるという。

 尾山義照住職は「天皇陛下の即位の時期に、かつての即位礼が分かる古文書の発見に不思議な縁を感じる」と話している。同寺では即位礼を記念し、発見された古文書を紹介するコーナーを設け、三種の神器図にちなんだ御朱印を用意した。

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