山あいの福井県勝山市北谷町に伝わる保存食「鯖の熟れ鮨し(さばのなれずし)」の仕込み作業が11月7日、同市北谷町北六呂師の加工場で始まった。地元加工グループがサバに麹(こうじ)とショウガを混ぜた酢飯を挟み、次々とたる詰め。厳しい寒さの中で熟成、発酵させ、伝統の味に仕上げる。
作り手の高齢化が進む中、昨年からNPO法人きただに村が材料の仕入れと販売を担い、企業組合の鯖の熟れ鮨し加工グループは製造に専念。今年は前年より200匹多い1700匹を漬け込む。
この日は、千葉県銚子産のサバ約300匹を用意。加工グループの代表ら6人が手際よく作業を進めた。代表は「後継者を育てながら、北谷伝統の味を残していきたい」と話していた。
たる詰めされたサバは、厳しい寒さや雪の中でゆっくりと発酵が進むことから「自然が隠し味」とも言われる。なれずし特有の癖がなく、甘みとうまみ、チーズのような香りが楽しめるという。
箱入りで1匹1800円(税込み)。年末年始用の予約販売を受け付けているほか、12月21日から北谷町コミュニティセンター内の山の駅「よろっさ」で販売する。