12月末で美術館としての役割を終える建物をバックに「企画展を楽しんでほしい」と話す土田館長=南砺市井波

12月末で美術館としての役割を終える建物をバックに「企画展を楽しんでほしい」と話す土田館長=南砺市井波

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井波美術館12月で閉館 地元芸術をけん引32年 11月20日から最後の企画展

北日本新聞(2019年11月13日)

 南砺市井波美術館(土田信久館長)が、12月末で閉館することが分かった。耐震化されていないため、市は公共施設として維持していくのは難しいと判断。32年の歴史に幕を下ろすことになった。今月末からは最後の企画展を開催する。地元では建物の新たな活用策を求める声が上がっている。

 井波美術館は1920年代半ばに建てられた中越銀行支店の建物を活用し、87年にオープン。ルネサンス様式の外観が特徴的で、まちなかのシンボルとして親しまれてきた。美術館の運営は、南砺市と管理委託の契約を結んだ井波美術協会の有志が担ってきた。

 市は当初、同協会が建物の譲渡を受けることで協議を進めたが、負担が大きいとして断念。市が建物の購入者を一般公募することにしたが、現在はいったん延期し、地元関係者が建物存続に向けて新たな活用策を模索している。

 地元としては、建物の存続は目指すものの、美術館としては、市と同協会との管理委託の契約が12月末で終了することとなった。同協会の川田良樹会長は「当然続けたかったが、運営するメンバーの高齢化が進んでいることもあり、仕方のない判断だった」と話す。

 同館と同協会による最後の企画展は20日からで、運営に携わってきた会員と、その物故者計52人の彫刻や写真、書、絵画などを1点ずつ展示する。12月22日まで。

 土田館長は「各時代の会員たちの作品が見られる。多くの人に来てもらい、美術館の歴史に触れてほしい」としている。

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