藤島神社が牧野島村(現在の福井市文京4丁目)にあったときの地図など遷座に関する資料を並べた企画展=1月22日、福井県福井市立郷土歴史博物館

藤島神社が牧野島村(現在の福井市文京4丁目)にあったときの地図など遷座に関する資料を並べた企画展=1月22日、福井県福井市立郷土歴史博物館

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新田義貞祭る藤島神社の遷座など紹介 福井市で企画展

福井新聞(2020年1月24日)

 南北朝時代の武将、新田義貞を祭る藤島神社の遷座から、福井のまちの移り変わりをたどる企画展が福井県福井市立郷土歴史博物館で開かれている。明治期に行われた2度の遷座は、船による海運から鉄道による陸運への物流の転換期に当たった。街道沿いの名所だった神社の移転が地域の衰退に拍車をかけるとして反対運動が起きたことなど、新たに寄託された資料を含む約30点で紹介している。3月16日まで。

 藤島神社は1876(明治9)年、義貞の戦没地とされる灯明寺畷(現在の新田塚町、芦原街道沿い)に創建され、762坪の社地と43坪の仮の社殿があった。当時の神社の様子を伝える地図には「低窪地」と記されており、水害に悩まされていた。

 80年ごろから、神社南の牧野島村(現在の文京4丁目、福井大文京キャンパス向かいの芦原街道沿い)への遷座が進められた。測量図などから、新たな道や堀が築かれ、約3300坪もの広大な社地が生まれたことが分かる。94年の市街地の地図には、市街地から北西に離れた藤島神社が境内の挿絵付きで紹介されており、福井の観光名所として認識されていたことをうかがわせる。

 牧野島村も低地にあったため、遷座が進められてからの15年で6度も水害に遭い、特に95年は約1・2メートルもの浸水に見舞われた。このため足羽山に遷座することになり、1901年に現在地の毛矢3丁目に社殿が完成した。

 遷座に対し、牧野島村近くの住民から反対運動が起きた。神社の世話人が県知事に宛てた1897年の「請願追申書」は、鉄道北陸線の開通で人の往来や物流が市街地西部の街道から東部に移ると指摘。名所となっている神社を移転することで、西部の衰退に拍車がかかると懸念している。

 担当学芸員は、全国各地で水害が発生し、北陸新幹線の福井開業が迫る中「展示をきっかけに、福井のまちの何を残し、何を変えるか考えてみてほしい」と話している。

 企画展「藤島神社のお引っ越し-移り変わる明治福井の町並み」は観覧料220円。25日、2月15日、3月14日の午後2時から、山田さんが展示を解説する。3月15日午後2時からは「明治福井の都市発展と藤島神社」がテーマの学芸員による講座がある。2月3、25、26日は休館。


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