新潟県小千谷市塩殿地区で、ホテルのような豪華なキャンプ「グランピング」と農業体験を組み合わせ、インバウンド(訪日客)を誘致する取り組みが動き出した。地元の地域おこし協力隊員らが中心となって実現を目指す。第1弾として、春先に山菜採り体験ツアーを計画している。
中心となって企画を進めているのは、塩殿地区の地域おこし協力隊員、井上雄介さん(35)。住民も協力する。
地区には、市の農業体験施設「おぢやクラインガルテンふれあいの里」がある。首都圏など市外の人々が田舎暮らしを体験するもので、農地と宿泊施設を備えている。
ただ、宿泊施設は年単位の契約。井上さんは1泊2日など短期滞在者を呼ぶため、テントを活用したグランピングに着目した。特に外国人観光客に向け、農業体験と組み合わせることで集客を図る。
実施に当たっては、インバウンド向けの観光事業に取り組む東京都内の企業がテントを用意するなど支援する。今後、ツアー先として検討している。またNTTドコモ新潟支店も地域貢献活動の一環として協力。インターネット接続ができる無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」の設置といった、滞在時の通信面などで支援も検討する。
井上さんら関係者は17日、ふれあいの里の敷地で、グランピングにも用いられる釣り鐘型テントを設営した。
30分ほどで立てられ、広さ20平方メートルの内部には家具やストーブも置くことができる。関係者はテントから出入りしたり、信濃川を望む景観を眺めたりしながら、企画へのイメージを膨らませた。
今後は、在日外国人を対象としたイベントを試行し、課題を探りたいとする。井上さんは「東京から3時間で移動できる立地も生かし、小千谷をコンテンツとしたインバウンド誘致を仕掛けたい」と意気込んでいる。