富山市の飲食店のために作った蜃気楼塗りの器

富山市の飲食店のために作った蜃気楼塗りの器

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「蜃気楼塗り」きらめく器 魚津の鷹休漆器店が新作

北日本新聞(2020年5月26日)

■熟練技で風景の揺らぎ表現

 魚津漆器の職人で、鷹休(たかやすみ)漆器店4代目の鷹休雅人さん(51)=魚津市中央通り=は、春型蜃気楼(しんきろう)を表現した「蜃気楼塗り」の器を作っている。今年は3月下旬から春型の発生が相次いでいるが、新型コロナウイルス感染予防のため観測スポットへの訪問は自粛が求められている。鷹休さんは器を通じて蜃気楼を感じてもらおうと、魅力の発信に力を入れる。

 蜃気楼塗りは、雅人さんの父で3代目の故昭夫さんが考案した。朱と黒色の漆が混ざり合うグラデーションで、蜃気楼独特の風景の揺らぎを表現する。手間がかかり、熟練の技が必要になる。市のふるさと納税の返礼品としても、昨年から人気が高まってきた。

 ただ、鷹休さんは「若い世代には魚津漆器自体が知られていない」と危機感を抱く。新型コロナの影響で冠婚葬祭が縮小されたことから贈答品需要が減っており、「もっと魅力を伝えていかなくては」と言う。

 今月下旬には、富山市の日本料理店「来人喜人(きときと) はぎ原」の依頼で、蜃気楼塗りの小吸物椀(こすいものわん)22個を完成させた。同店は「器を通して富山を感じてもらおう」と年間を通じて使う。鷹休さんは「蜃気楼を見た気分になって、器も楽しんでもらいたい」と話した。

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