交流試合出場を伝えられる星稜高野球部員=金沢市の同部グラウンド

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「まさか」笑顔と涙 星稜、航空石川、甲子園へ

北國新聞(2020年6月11日)

 「甲子園で試合ができるチャンスが来るとは、信じられない」。今春の選抜高校野球大会に北信越代表として出場予定だった星稜、航空石川に10日、8月の交流試合への招待が伝えられ、球児は笑顔を浮かべ、うれし涙を流した。夏の王者を決める本来の姿とは違う試合にはなるものの、異例ずくめの最終学年を過ごす3年生は「全員で精いっぱい戦う」と集大成を果たす決意を込めた。
 「多くの方々の尽力があって甲子園で試合ができることになった」。午後4時、星稜の林和成監督が練習を中断して切り出すと、虚を突かれた部員は静まり返った。林監督に「最高にうれしい顔をしては?」と促されてようやく笑顔に。1、2年生は最後の夏に甲子園の土を踏む機会を得た3年生を拍手で祝福した。
 昨夏準優勝の星稜は「甲子園の借りは甲子園で返す」と心に決めて練習を続けてきた。内山壮真主将は「信じられない」と驚きながら「甲子園で勝って終わりたいと1年生の時から思ってきた。応援に感謝を込めて全てをぶつける。(昨夏の決勝で敗れた)履正社と戦いたい」と決意を語った。プロ入りを目標に、実力を示す場が得られたことも喜んだ。
 昨夏の甲子園で「最後のバッター」となった知田爽汰選手はくやしさをバネに休部中も意欲的にトレーニングを続けた。「持っている力を全て発揮したい」と素直に語った。
 林監督は「3年生中心に試合に臨みたい。甲子園で3年生と試合ができることが何よりうれしい」と感謝し、7~8月の独自の石川県大会とともに全力を尽くすことを誓った。
 午後4時、輪島市の航空石川では、グラウンドに集まった部員94人に小林学校長が「いろんな思いが凝縮された1試合を大切に、思う存分、力を発揮してほしい」と励ました。
 「3年生の我慢とか、いろんな気持ちを考えると、本気の勝負ができることがうれしかった」。中村隆監督は感極まって涙声となり、井口太陽主将らも込み上げる思いに涙が止まらなかった。部員は円陣を組み、帽子を青空に向けて高く投げ、喜びを爆発させた。
 夏の甲子園中止の落胆から気持ちを切り替え、独自の県大会を目標に8日から全体練習を再開した矢先の吉報。「応援してくださった人に恩返しし、感動が与えられるように全員で頑張っていこう」とチームメートに呼び掛けた井口主将は「夢の舞台で野球ができて、すごくうれしい」と喜んだ。
 エース嘉手苅(かてかる)浩太投手は「感謝の気持ちでいっぱい。1試合しかないので全力で頑張りたい。150キロを出したい」と活躍を誓った。竹下樹外野手も「まさか甲子園に行けるとは思ってもいなかったので、うれしい。2カ月間、感謝の気持ちを込めて野球をしたい」と表情を引き締めた。

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