新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた都道府県をまたぐ移動の自粛が19日、全面解除された。富山と長野を結ぶ山岳観光路「立山黒部アルペンルート」は同日、休止から約2カ月ぶりに営業を再開した。雨模様もあり観光客は少なく、この日の入り込みは例年同期の1割ほどの142人にとどまった。
午前9時に美女平(標高977メートル)を出発した第1便のバスには、県内外から訪れた家族連れら17人が「密」を避けるため間隔を空けて乗車。走行中は空調設備で車内の換気を行った。
誘客を狙って県民向けに割引切符を販売する県のキャンペーンもこの日から始まった。高岡市御旅屋町の男性会社員(37)は、妻(44)や息子(3)と共に利用し「お得でありがたい。家族で遠出するのは久しぶりだったので、気分転換になった」と話した。
アルペンルートは4月15日に開通したが、感染拡大で同18日から立山駅―扇沢駅(長野県大町市)の全線で休止していた。
運営する立山黒部貫光(富山市)によると、当面は営業時間を短縮するほか、立山高原バスや立山ケーブルカーの便数を減らしたり、乗車制限を設けたりするなどの感染対策を取る。団体予約は6月がゼロで、7月は前年同月の1割ほどにとどまっているという。
京都の嵐山や岩手の世界遺産・中尊寺など、全国各地の観光地も人影はまばらだった。人出が増える週末に向け、土産物店などは、新型コロナウイルス感染を防ぐ対策に追われていた。