橋立漁港に初入港した新造船の「第十八梅昭丸」=加賀市

橋立漁港に初入港した新造船の「第十八梅昭丸」=加賀市

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19年ぶり新造船 加賀・橋立漁港の底引き網漁船

北國新聞(2020年8月5日)

 石川県漁協加賀支所所属の底引き網漁船に19年ぶりに新造船が加わり、加賀市の橋立漁港に4日、大漁旗をはためかせながら初入港した。新型コロナウイルスの影響で飲食店向け鮮魚需要が落ち込む中、集まった住民は「コロナ禍の荒波を乗り越えて」と9月からの操業に期待を膨らませた。ベテランの船主がこれまで乗っていた船は新たに独立する漁師に引き継がれ、同支所所属の底引き網漁船は1増の10隻となった。
 新造船「第十八梅昭丸(ばいしょうまる)」(12トン)を取得したのは、橋立の底引き網漁師で最年長となる梅田武伸さん(61)=同市田尻町。代々船乗りの家庭で育った梅田さんは漁師歴43年目を迎え、長男裕佑さん(32)への将来的な譲渡を視野に人生で2隻目の購入を決意。新造船は最新の航海システムや高性能エンジンを備え、より沖合での操業が可能になった。
 一方、梅田さんが従来使っていた漁船(11トン)は知人の漁師中嶋康文さん(43)=同=に引き継がれた。17歳で漁師となり、橋立の漁船に乗っていた中嶋さんは自分の船を持つのが幼い頃からの夢で、梅田さんが船を手放すと知り、譲ってほしいと頼み込んだ。エンジンやモーターを新品と交換するなど改修し、「海で成功する」との決意を込めて「海成丸(かいせいまる)」と命名した。
 鳥毛造船所(七尾市)でそれぞれ新造、改修された2隻は4日朝に七尾港を出港し、珠洲沖を経由して橋立に向かった。聞き付けた住民が続々と漁港に集まる中、中嶋さん、梅田さんが順に船を入港させると、大漁旗をなびかせた真っ白な船体は熱視線を浴びた。
 梅田さんは「子どもからお年寄りまで大勢が迎えてくれたのはうれしい。コロナの逆境もあるが、精いっぱい頑張りたい」と意気込み、中嶋さんは「船は一生に一度の買い物。不安もあるが、慌てず漁に臨み、たくさん魚を捕れるようになりたい」と抱負を語った。
 県漁協加賀支所によると、橋立漁港での底引き網漁のピークは1973(昭和48)年ごろで、最大27隻がカニや甘エビ、カレイなどを狙って操業した。しかし高齢化や船の老朽化で担い手が減少した。
 同支所の橋本勝寿運営委員長は「漁船が増えるのは大変珍しく、船主の2人は今後も頑張っていってほしい」と話した。

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