新型コロナウイルス禍で音楽コンクールが中止となった小中学生のための「ブレイクスルー音楽祭2020」が22日、福井市の県立音楽堂大ホールで開かれた。引退を控えた吹奏楽部員らが、憧れの舞台で仲間と奏でる喜びを表現。大きな拍手が送られた。
福井市PTA連合会が独自の音楽祭として計画。趣旨に賛同した至民中、美山中、足羽一中の吹奏楽部と東安居小の子ども太鼓、海自舞鶴音楽隊が出演した。
音楽祭は子ども太鼓の「息吹」で勇ましく幕開け。それぞれコンクールで披露するはずだった曲など2~4曲を披露した。
至民中3年の加畑智菜実部長は、2年生のときからクラリネットで練習してきた思い入れのある序曲「祝典」を感情豊かに演奏。合奏が難しいときは、壁に向かってパート練習するなどして準備してきた。「もうこのメンバーとハーモニーホールで吹けることはないと思っていた。最後に最高の舞台を用意してもらい、たくさんの人に聴いてもらえて本当にうれしかった」と話していた。
市P連は来場者に検温や消毒のほか、厚生労働省が運用するスマホ向けの「接触確認アプリ」を事前にインストールしてもらうなど感染対策を徹底した。後藤正邦会長は「本当に成功といえるのは(一人の感染者も出さず)全員元気なこと。成功と評価されれば今後の演奏会開催へ大きな前例になる」と話していた。