小松市の木場潟で、2015年に復活した水生植物「オニビシ」が生息域を拡大している。昨年まで約2千平方メートルだった面積は3500平方メートルに広がり、保全活動に取り組んできた木場潟再生プロジェクトのメンバーは「地道な活動が実を結んだ」と喜んでいる。
同プロジェクトによると、オニビシはヒシ科の浮葉植物で、8~9月にかれんな白い花を咲かせる。県絶滅危惧種Ⅱ種に指定されており、木場潟では1980(昭和55)年にほかの水生植物とともに見られなくなった。
木場潟の在りし日の姿を取り戻そうと、今年6月に亡くなったメンバーの坂信隆さん(享年76)が2014年に、市内の別の潟に自生していたオニビシの種を木場潟にまいて栽培を開始。外来種のカメやザリガニを駆除し、世話を続けた結果、15年に再び根を張り、徐々に生息域を拡大してきた。
今年はこれまで生育していなかった潟南園地の釣り桟橋で約1500平方メートルが新たに確認された。メンバーで同公園協会の藤田勝男代表理事は「ヒシが増えたことはうれしい。水質浄化や生物が住みやすい環境づくりにつながる」と話した。