日が当たり、飛び出してくるように見える竜の畳。157枚のパーツでできている=加茂市五番町

日が当たり、飛び出してくるように見える竜の畳。157枚のパーツでできている=加茂市五番町

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竜が躍動 大迫力のアート畳 加茂・本量寺

新潟日報(2020年9月8日)

 新潟県加茂市五番町の本量寺に、芸術的な竜のデザインの畳作品がお目見えした。細かく切った畳をパズルのように組み合わせ、色の明暗や線で竜の姿を表現している。岐阜県の畳職人、山田憲司さん(36)が手掛けた。制作を依頼した同寺の住職大森舜晃さん(49)は「檀家(だんか)だけでなく、素晴らしい作品を見に来てもらいたい」と呼び掛けている。

 山田さんは、1869年に創業した山田一畳店(岐阜県羽島市)の5代目。2017年に東京の建築事務所を退職し、翌年家業を継いだ。一般的な畳だけでなく、円や多角形を敷き詰めた幾何学模様などの「デザイン畳」を制作している。「住宅の洋風化に対応できず、業界が衰退している。現代のインテリアに合い、世界に通用するものを作りたかった」と山田さんは語る。

 これまでに、全国の旅館や個人宅など約20軒から注文を受けてきた。自宅で試作した竜のデザインは、メディアで話題を呼んでいたが、受注はまだなかった。

 そんな中、会員制交流サイト(SNS)で竜の畳を見た大森さんが、その迫力に一目ぼれ。ことし、法華宗の開祖日蓮聖人が、「龍ノ口刑場」で奇跡的に斬首を免れたとされる年から750年目を迎えたこともあり、制作を依頼した。

 8月31日に本量寺で作業が行われ、上段の間8畳分のスペースに、竜の角やひげ、雲といったパーツを隙間なくはめ込んでいった。竜は仏教で煩悩の数とされる108枚、背景は四十九日にちなんだ49枚でできている。場所によってイ草の目の向きを変えることで、光の反射による色の濃淡を出した。2時間ほどで作業を終えると、にらみを利かせた竜が浮かび上がった。

 山田さんは「日本画の竜をモチーフに、伝統的な寺の建築にマッチするものになったと思う」と納得の表情。大森さんは「山田さんは、作品だけでなく、熱意や人柄がいい。ますます活躍してくれたら、さらに自慢の品になるね」とうれしそうだった。

 12日、大森さんが、左目を埋め込む"開眼供養"を行って完成する。

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