氷見市地蔵町の松本魚問屋は石川県珠洲市で昔ながらの製法で作られてきた「トビウオの焼き干し」を商品化した。上品で深みのあるだしが出ると料理店や家庭で愛用されてきたが、後継者不足などで伝統が途絶える恐れが出たため、同社が現地の作り手から直接製法を受け継いだ。
奥能登の珠洲では、地元の水産加工業者が春から夏にかけて水揚げされるトビウオ(アゴ)を炭火で焼き、浜風で干して焼き干しを作ってきた。特産の珪藻土(けいそうど)七輪(しちりん)と木炭で焼き上げ、人気を集めていたが、今年で生産をやめることになった。取引のある料亭などから、「なくなるのは残念」と相談を受けた同社が製造に乗り出した。
串打ちから炭火焼きまで全て手作業。淡泊な白身魚のトビウオは焼き干しにすることでうま味が凝縮し、臭みのない深い味わいのだしになる。開発を担当した同社の山下貴民さんは「伝統の味を長く残していきたい。みそ汁や吸い物にして味わってほしい」と話す。
高岡市の山町ヴァレー内の店舗や同社のオンラインストアで販売している。