山中節を解説する冊子を作った山中温泉ゆけむり倶楽部のメンバー=加賀市山中温泉西桂木町

山中節を解説する冊子を作った山中温泉ゆけむり倶楽部のメンバー=加賀市山中温泉西桂木町

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山中節の魅力、児童に届け 加賀市内全小6に冊子

北國新聞(2020年11月18日)

 加賀市内の子どもたちに民謡「山中節」の魅力を伝えたいと、地元の山中節愛好者でつくる「山中温泉ゆけむり倶楽部(くらぶ)」が17日までに、山中節の起源や歴代の山中芸妓(げいぎ)などを分かりやすく解説した冊子を作った。児童が親しみやすいよう芸妓や歌詞に登場する場所を撮影した数多くの写真を織り交ぜた。市内全18小学校の6年生約600人全員と図書館などに配り、湯の街に息づく伝統文化の継承と普及に役立てる。
 冊子はA5判62ページで「山中節の四季」と題した。昭和初期に「正調山中節」を確立した芸妓の初代米八(よねはち)さんの功績や、若手の小乃(この)葉(は)さんが芸事に進むきっかけとなった経緯など山中節の知名度を高め、継承に努めてきた7人のエピソードをつづった。
 歌詞を紹介するページでは、実際に登場する場所の写真を掲載した。「山が赤なる木の葉が落ちる」では水無山の紅葉、「東ゃ松山 西ゃ薬師」では「お薬師さん」の愛称がある真言宗医王寺を捉えた明治後期ごろの1枚を添え、情景を思い浮かべてもらえるよう工夫した。
 同倶楽部は山中節にまつわる文献が少ないことを受け、2年前にも聞き取り調査などで歴史をまとめた「山中節覚え書(がき)」を完成させた。関係者から「分かりやすくて面白い」と好評で、より幅広い世代に魅力を伝えたいと考え、冊子を作ることにした。
 作製に当たっては「山中節覚え書」のほか、山中児童センターで定期的に開かれている「子ども山中節教室」(北國新聞社後援)で配った芸妓を紹介するリーフレットを基に編集した。写真はメンバーが撮影したり、地元の高齢者から古いものを借りたりした。
 いしかわ県民文化振興基金の助成を受け、1千部を作製した。学校などへ配った分以外は山中座や山中温泉湯の本町の「手作り餃(ぎょう)子(ざ)長樂(ちょうらく)」などで1部500円(税抜き)で取り扱う。
 メンバーの日比野顕一さん(66)は「親子で冊子を読み、数多くの芸妓が歌い継いできた素晴らしい文化を知り、伝えていこうとする機運を高めたい」と話した。

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