日本の近代鉱物学の礎を築いた福井県小浜藩出身の和田維四郎(つなしろう)(1856~1920年)に宛てて、外相を務めるなど明治、大正時代に活躍した外交官青木周蔵(1844~1914年)が出した書簡が見つかり、福井市の県立こども歴史文化館で公開されている。青木が入手した鉱物の鑑定を和田に依頼する内容で、同文化館の担当者は「当時、政治家や実業家が参画し鉱山開発を進めた状況がうかがえる資料」と話している。
書簡は、同館が8月に福井市内の古書店から購入した。宛名が「和田局長殿」となっていることなどから、和田が明治政府の地質局、鉱山局の局長を務めていた1890~1891年に書かれたとみられる。
青木は、入手した鉱物に銀が含まれているかどうかの鑑定を依頼しており、土地購入の際に鉱山の見込みがあるかを判断するため助言を求めた可能性がある。和田らの研究により近代鉱物学が普及し、鉱物の鑑定が当たり前になっていたことも示しているという。
展示は、和田の没後100年を記念した同文化館の特別展の一環。和田ら福井ゆかりの鉱物学者とさまざまな鉱物に関する資料を紹介している。11月29日まで。